工数ビジネスの限界

  • 2020年9月9日
  • 2020年9月12日
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工数ビジネスの限界

IT系の開発ビジネスを提供しているシステムインテグレーター(SIer)の事業では、情報システムの開発や運用では、作業量に応じて費用を支払う「工数ビジネス」が一般的です。作業量に応じて人員をユーザー企業に提供し、その人員の1日や1カ月といった作業期間に応じた「人件費」を収益の源泉としています。いわゆる客先常駐型のシステム開発ですね。

この様な事業で売り上げを伸ばしていくためには、できるだけ高い単価で多くの人員を投入する必要があります。単価の高い安いは人員のスキルに依存するわけですが、世の中の人員がみな優秀なわけではなくシステム開発を生業としているだけで皆が優秀な人ばかりではありません。よって業界全体として大規模な開発案件を受注し大量に人を導入するような案件へ比重が高まっていくのだと僕は考えます。

この状況の中で大量に人を集めて投入することで利益を上げつづけることで、優秀とは言えない人が集まって開発をすることになります。それでも比較的単価の安い人員を調達し大量投入することでシステムインテグレーターは利益を上げることができます。効率や品質の悪い人員を大量に抱えていても仕事が成り立ってしまうからくりです。場合によっては、効率や品質の悪い人員が多い方が売り上げが上がっていくことも起こりうるのです。

これは市場原理に反しています。ただ、2000年以降のIT業界の進化のスピードにユーザ企業がついてこれていないという状況がこの様な状況を許してきています。

システムインテグレーターの工数ビジネスの限界が近づいています。

ひとつめの契機として、効率や品質の悪い人員を大量に抱えなくても大規模な開発を行えるようになってきているということにあります。

  • クラウド化やインフラサービスの強化によるインフラ構築コストの低減
  • ローコード・ノーコードなどの作業効率向上によるアプリケーション開発コストの低減

次に要員調達困難になることから原価が低下する。

  • ITが社会活動の競争力の源泉であることからユーザ企業は社内の人員を育てることに注力から内製化の促進により要員調達が困難になる
  • 働き方改革による要員毎の作業時間の低減により単価上昇が抑えられる
  • 若者人口の低下と少子高齢化

この様な背景から人員の調達が困難になり一方でユーザ企業からは、単価を抑える動きが強くなりシステムインテグレーターの事業は困窮していくことは目に見えている状況です。

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